身近に潜む動物実験
学生時代、カエルの解剖の授業があって、女子の大半が泣いたり嫌がって拒否していた記憶があります。男子と言えば、子供の頃から虫を捕ったり殺す遊びが普通で、カエルの解剖にしたって気持ちいいものではありませんが好奇心の方が強かったようにも思います。動物保護と叫ばれるようになったのはつい最近の話ですが、昔の人の方がよっぽど殺生はしなかったのではないでしょうか。昔の人たちは、誰でも生きるために食料となる動物を捕まえて殺す必要があり、決してそれがいい気持ちだったわけではありません。殺すという行為の意味を理解しているからからこそ、無駄な殺生はしたいと思わないのです。今の時代、肉や魚はさばかれて売られているのが当たり前で、自分で殺して食料を確保することもなくなりました。これでは子供たちが生き物の命の尊さを理解出来ないのも無理はないように感じます。
動物実験も同じことではないでしょうか。そもそも動物実験とは、動物たちのためではなく、僕たち人間のためにあるわけです。薬の研究に動物実験はつきもので、それは人間に使用する前に副作用などの臨床実験が大切だからです。僕は一概に「動物実験反対」とは言えないと思っています。なぜなら、今まで繰り返し行われてきた動物実験があったからこそ、普段何気なく飲んでいる薬も安心して飲めているわけです。どんなものに、どれだけの動物たちが実験に使われ惨い死に方をしていったかも理解していないのに、安易に動物が可哀想だから反対だと言うべきではないと考えています。
しかし世界中の動物愛護団体が主張するように、本当に全ての動物実験が必要だとは思えないのも事実です。普段から女性が使う化粧品や整髪料など、あらゆる商品が皮膚や目への影響の実験を行っています。実際にウサギやマウスの肌に大量に塗布して放置したり、目に無理矢理入れたりするわけです。しかしこれらが無意味な実験だと言われる理由は、ウサギなどの動物が人間とは皮膚も目も違う構造の動物であり、実験結果からは得られるものはほとんど無いということなのです。僕自身は詳しいことは理解出来ませんが、これだけ医学が発達した現代において、なぜこういった分野での工夫がなぜされないかということに憤りを感じます。動物実験に使われた動物たちは、そのまま放置されるか処分されるのです。代わりはいくらでもいる、そんなことが毎日ずっとどこかで今も行われている、それが現実なのです。
最近では「動物実験をしない」ことを宣言する企業もあり(ボディショップなど)、徐々にそういった動きも見えてきました。しかし日本でもトップクラスの化粧品メーカーでさえ、表向きのピュアなイメージとは裏腹に動物実験を止めないわけで、一日でも早く大企業が率先して動物実験廃止に動き出して欲しいと思います。